出向起業は、大企業内では実現が難しい革新的な新規事業を、社員が辞職することなく外部資金を活用して起業し、自らそのスタートアップに出向して事業開発に挑戦する仕組みです。
このページでは、経済産業省が推進してきた出向起業スキームの概要やメリット、具体的なパターン、そして数々の実例を通じて、その全体像を分かりやすく解説します。
「本業とはシナジーが薄い」「不確実性が高い」などの理由で社内で承認されにくい事業アイデアを、社外のフィールドで自由度高く実現するための手法として、注目を集めています。
<aside>
🔖
目次
</aside>
出向起業スキーム
- 出向起業とは、大企業等の社内では育てにくい新規事業について、当該企業社員が辞職せずに外部VC等からの資金調達や個人資産の投下を経て起業し、起業したスタートアップに自ら出向等を通じて新規事業を開発するスキームを指します。
- 過去、経済産業省は令和元年度補正予算~令和6年度当初予算の約5年間の間、補助金事業にて当該スキームの事例創出・普及啓発を進めてきました。補助金採択事業者として事務局が把握している案件だけでも、64件の事例が創出されました。

大企業で育てにくい事業
- 大企業等の社内では育てにくいタイプの新規事業が存在します。若手中堅社員がこれまでの業界経験や個人的原体験等を踏まえて企画した新規事業が、「本業とのシナジーが薄い」「推定売上高規模が3~5年で数百億円まで届かない」「不確実性が高い」等の理由で、社内稟議で却下されている現状があります。
- 前提として、既存事業と新規事業は全く”ゲームのルール”が異なるものであり、既存事業の価値観・構造から切り離して新規事業を検討する仕組みがなければ、殆どの新規事業は却下されてしまう構造にあります。

出向起業のメリット
- 出向起業は、カーブアウトまたは一部関係性を維持したスピンアウトに該当します。ガバナンスを外す資本構成によって自由度高く事業開発を行い、第三者の資本参加を促すことが特徴です
