渡邊 裕太氏(株式会社Carjany)
Q.これまでのキャリアについて教えてください。
2007年に新卒で現在の金融機関に入社後、国内で5年間、業界のビジネスモデルを学んだ後、中国・上海での語学研修を1年経験させていただきました。
研修終了後は中国の北京・上海に6年駐在し、その中でローカルの自動車販売に係る金融サービスの新規事業を担当させていただいたのですが、当時の中国マーケットは世界一の自動車販売台数ながら外資に市場が開放されたばかり。日本とは異なる戦略を持つ中国の競合会社のアプローチに日々四苦八苦しましたが、一方で日本の常識を超えた思考の幅を持つことができました。「金融機関が、幅広い領域の事業を営み、社会に価値貢献している姿」はカルチャーショック以外の何物でもありませんでしたが、この実体験がCarjany事業のアイデアの根底にあるといっても過言ではありません。
日本に帰国後は、海外ビジネスの支援、スタートアップとのオープンイノベーション推進、新しいビジネスモデル構築の企画など、幅広い業務に従事しました。新しいビジネスモデル構築の企画業務においては、お客様を起点としたビジネスモデルをどうやって創るのかが最大課題となっており、その流れの中で起案したビジネスアイデアがCarjany事業です。
Q.アイデアを事業化、出向起業へと行動に移された理由を教えてください。
「お客様起点のビジネスモデルの構築が業界には必要」という、勝手な正義感のようなものが自分を動かしたと感じています。
業界のビジネスモデルの中でお客様の存在をより際立たせるためにはどうすればいいのか、当時は日々それに悩みましたが、私が辿り着いたのは、「出向元企業自体が、金融サービス以外でもお客様とダイレクトな接点を持ち、複層的に価値提供できる仕組みが必要」という仮説でした。
そこからは、自動車業界、特に車の購入時においてお客様が感じている課題をヒアリングし、お客様の何のペインを解決すべきかの検討に時間を使いました。中国駐在の経験から、「金融機関が幅広く社会に価値提供できる可能性」を認識していましたので、金融サービスに閉じず、幅広く検討を進めていきました。ぼんやりと“試乗”の領域にお客様の課題がありそうだと特定してからは、それをベースにサービス開発を進めてきましたが、出向元企業内では、「このビジネスは現在の金融業とどう関連するのだ?」という議論が発生し、調整に時間を要しました。私は「真のお客様起点の業界を創っていくためには、今の金融サービスに限定したアプローチだけでは足りない可能性がある。将来的な金融業への効果は意識しつつ、お客様が本当に必要とするサービスを開発し、お客様へ複層的に価値提供していきましょう。本業への効果はその後でも必ず付いてきます。」と説明し、社内調整を行っていきました。多くの方にサポートを頂いた事もあり、最終的に出向起業の承諾までこぎつけることができました。
Q.まず実現したいこと、目標やビジョンがあれば教えてください。
「クルマ選びを、らしく、楽しく、スマートに」 これが我々Carjanyが社会に提供したい価値です。
現在は埼玉県の一部の地域で事業を展開していますが、3年以内に東京・神奈川・千葉へ、5年以内には、全国の主要都市への展開を計画しています。お客様のクルマの購入の悩みの解決に愚直に取り組みながら事業推進していく予定ですので、現在の乗り比べサービス以外にも、上記ミッションを実現するためのサービスは順次リリースしていき、お客様のクルマ選びを真にサポートできる会社を目指していきます。
「Carjanyのおかげで、最高のクルマ選びができた」、関わったすべてのお客様からそう言ってもらえる事が我々のゴールですし、出向元企業で検討していた業界の新しいビジネスモデル構築も、このお客様の評価を積み上げて行った先に実現できると私は信じています。 将来的には、出向元企業と連携をしながら、Carjanyのサービスを、“金融サービスを超えたお客様起点のサービス”として世の中に提供する事で、「金融機関が、こんなところまでサービス提供してくれるのですね」、そんな評価をお客様から頂ける状態を目指したいと考えています。その状態が、私がCarjany事業を始めたきっかけである「業界の新しいビジネスモデルの構築」の実現そのものだと思いますので。
Q.出向起業にあたっての意気込みをお聞かせください。
経営者となり、一緒に働いてくれている社員は既に6名になります。今までのサラリーマン生活とは異なり、社員の人生を背負っているという事にプレッシャーを感じますが、同じ志を持ったメンバーと事業を創っていけるのは、とてもやりがいを感じています。
今後、意識して取り組みたいことは2点あり、1点目は「お客様視点を持ち続けること」です。我々の行動の軸は、お客様のクルマの購入に係るペインを解決し、新しい価値を提供し続けていくこと。ここは崩さず、常にお客様にとって何がベストか?を考えて事業運営していきたいです。2点目は「社会への真の価値提供を実現するためのスケール化」です。Carjany事業自体が最終的に社会に価値提供したいのは、「クルマ選びを、らしく、楽しく、スマートに」なる状態の実現です。特定地域ではありますが、現在、100名ほどのお客様がそう感じてくださる状況は構築でき始めていますので、ここからより多くの方に体感頂き、影響の輪を全国に1日も早く普及していきたいですね。
「Carjany新サービス開発に伴う事業実証」について
Carjanyは自動車購入における“試乗”のプロセスにフォーカスし、お客様が購入を検討されている多種類の新型車を乗り比べられるサービスです。
クルマ(特に新車)の購入というのは、人生に数回しかないビッグイベントで、本来であれば、じっくりと比較し、納得してから購入したいというお客様ニーズが強いはずですが、今はなかなかその状態が実現できていないと感じています。
そこで我々は、①長時間、②営業の同乗なしに、③複数メーカーの車をまとめて 乗り比べできる新サービスを開発。今後は、この乗り比べサービスに、その他サービスも拡充していく事で、お客様の「最高のクルマ選び」を実現するための価値提供を行っていきます。
渡邊 裕太氏
代表取締役
自己紹介/略歴:
2007年、某金融機関入社。 ここまで一貫して自動車業界に係る金融ビジネスに従事。 2012年からは中国に駐在し、外資に市場が開放されたばかりの自動車販売マーケットで、金融サービスの新規事業に携わる。この期間の経験を通じて、Carjany事業のベースとなるアイデアの着想を得る。 日本に帰国後、業界の新しいビジネスモデル構築を企画する業務に従事し、Carjany事業の検討を正式に開始。2024年2月に株式会社Carjanyを立ち上げ、同4月より事業スタートし、現在に至る。
会社概要
所在地 | 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエア イーストタワー4階 |
WEBサイト | https://carjany.com |
問合せ | info@carjany.jp |