松岡 康友氏(株式会社DigitalArchi)
Q.これまでのキャリアについて教えてください。
学生時代から一貫して取り組んできたテーマが「建築のデジタル化」です。
大学卒業後、株式会社竹中工務店に入社しました。入社後は研究員として情報技術分野と建築分野の架け橋となるべく多様な研究開発に従事してきました。
その後、米国留学中にシリコンバレーで触れた建設系スタートアップの創造力に感銘を受けたことをきっかけに、帰国後、オープンイノベーションのための連携支援部署を立上げました。部署を通じて、スタートアップとの連携支援に従事する中、自らの開発技術を社会実装すること、新規事業を模索するようになりました。
Q.アイデアを事業化、出向起業へと行動に移された理由を教えてください。
2014年に特任准教授として在籍していた慶應義塾大学と所属元企業の共同研究で大型3Dプリンタを開発したことがきっかけです。その後、2021年には新たな建築用大型3Dプリンタを開発し、プリント材料として廃棄プラスチックを活用する研究も行ってきました。
技術的な成熟、特許、社会的背景、建設産業でのニーズの顕在化、など様々な要件が全てつながって、今が事業化をすべきタイミングだと確信したのが2022年です。研究成果を活かし、プラスチック資源循環で社会課題解決に寄与すべく事業化を進め、出向起業社となる株式会社DigitalArchiを2023年に創業しました。
私自身がスタートアップを支援する立場として働く中で、成功確率を高めるにはどうすべきかを学んできました。脱サラ起業はかっこいいですが、スタートアップの成功確率は高くないことに気づき、起業する方法として出向起業を活用できれば、最も事業立ち上げ期の推進力が得られるのではと考え、出向起業の活用に向けて行動し始めました。
Q.出向起業制度の活用にあたって、社内調整はどのように進められたのでしょうか。
所属元企業に限らず建設産業全体としても出向起業制度を活用した前例が無かったため、制度を活用するための社内説明には長い時間と労力が必要でした。時間は掛かりましたが、後押ししてくださる方の支えがあったおかげで、試行的に出向起業として実施できることになりました。
Q.出向起業への応募に対して、所属企業の周りの社員の方、ご家族や身近な方の反応はいかがでしたか。
周りの方からは「頑張れよ」とか「成功事例を作ってくれ」という声をかけて頂きました。家族も応援してくれています。出向起業制度を活用したことで、退職せずに事業化へ挑戦でき、多少の安心感を持ってくれたのだと思います。
Q.これからどのように取り組んでいかれるのか、出向起業にあたっての意気込みがあればお聞かせください。
事業化は未だ始まったばかりですが、国内のみならずグローバルな事業展開を目指します。世界中で同様の社会課題がありますので、その解決に寄与したいです。
「デジタル型枠における接合部の開発」について
建設市場は今後、大規模再開発や老朽化したインフラ工事などを中心に需要は好調である一方、働き方改革関連法による時間外労働に対する上限規制、いわゆる建設業の2024年問題や職人の高齢化等により、人手不足が深刻化します。
本事業では3Dプリンタで自動的に型枠を製造し、人手を掛けずに建物を建てる、新たな工法を開発します。特にその実現に不可欠な技術要素として、型枠同士の接合を高精度かつ容易に実現する技術を確立します。
デジタル型枠を普及することにより、建設現場の課題解決を図ります。
松岡 康友氏
代表取締役
自己紹介/略歴:
神奈川県鎌倉市生まれ、 東京芸術大学建築科卒業、東京大学大学院学際情報学府修了。 株式会社竹中工務店にてIoT・AI分野の研究開発に従事。 米国UCバークレーEECSへ留学時にシリコンバレーでのスタートアップカルチャーに触れ、帰国後にオープンイノベーションの部署を立上げる。 慶應義塾大学政策・メディア研究科特任准教授として大型3Dプリンタ「ArchiFab Mai」を開発。 プラスチックの資源循環で社会課題解決に寄与すべく2023年に株式会社DigitalArchi創業。
会社概要
所在地 | 神奈川県鎌倉市大町1-1-14 |
WEBサイト | https://www.digital-archi.com/ |
問合せ | info@digital-archi.com |