和田 康佑氏(reLays株式会社)

Q.これまでのキャリアについて教えてください。

新卒で静岡銀行に入社後、法人営業を中心にキャリアを積んできました。営業担当として1,000社を超える多種多様な業種の企業経営者のみなさまと出会い、金融のみならず幅広い経営に関する課題を理解するため中小企業診断士を取得しました。

2022年に第1回社内ベンチャーの公募があり、普段自分が考えていること、経営者のみなさまが課題に感じていることを自らの手で具現化するチャンスと感じエントリーしました。

Q.新規事業(申請事業)のアイデアはどのように着想されたのでしょうか? 何かきっかけとなった出来事などがあれば教えてください。

最近時、企業不祥事やハラスメント事案が社会問題化するニュースをよく目にします。中には人の命が失われる痛ましい事件もあり、その後、会社の経営が立ち行かなくなることもあります。これは経営者にとっても企業で働く役職員にとっても不幸なことです。

こうした事案は内部通報で発覚することも多いですが、多くの企業で内部通報窓口はうまく機能していないと感じています。内部通報制度は、企業にとって「法に基づき仕方なく整備するもの」、役職員にとって「匿名性がなく抵抗感がある、結局握りつぶされてしまう」という認識が蔓延しています。

私の周りでも社会問題化する事案が発生し、後に内部通報制度の不備が指摘されました。また、ハラスメントで命を絶たれた方のニュースを目にした際には、自分自身が心身不調で休務した過去とも重なり、もはやこれは他人事ではない、と強く感じました。内部通報に関するステークホルダーのミスマッチを解消すること、そして、子供たちが社会に出るまでに、少しでも世の中を良くしたいと思い、自ら社会課題解決に挑戦することを決意しました。

Q.アイデアを事業化、出向起業へと行動に移された理由を教えてください。

社会課題を解決するという大きな目標を掲げる一方、私自身は銀行員としての一つのキャリアで歩んできており、専門的な法務やエンジニアとしての知識もありません。辞めて起業すれば、目標への道のりは果てしないものとなることを想像していました。

その点、出向起業制度が利用できれば、所属元企業との関係性を維持しながらリソースも活用させていただける。様々な人脈に辿り着けるため、より効率的に課題にアプローチできると考えました。

Q.出向起業制度の活用にあたって、社内調整はどのように進められたのでしょうか。

銀行は「銀行法」により営める事業(従属業務といいます)が限られます。社内で従属業務でない事業を始めようとするには監督官庁の認可も含め、膨大なプロセスを経る必要があります。一方で、今までにない事業を開発していくことは銀行にとっても重要なミッションとなっています。

加えてVUCAの時代の中で、事業開発はスピード感をもって行う必要もあります。スタートアップとしてのスピード感も含め、出向起業のコンセプトはこれとマッチしています。ただ、これらのプロセスは整理された情報がないので、社内外の方との壁打ちによって手探りで進めるしかありませんでした。

Q.出向起業への応募に対して、所属企業の周りの社員の方、ご家族や身近な方の反応はいかがでしたか。

社内ベンチャープログラムの事業化自体が前例のないことでしたので、事業化に向け様々な意見が飛び交いましたが、経営トップや社内外の色々な方の手助けを得られたおかげで、一歩踏み出すことができました。実際に事業を開始し始めてみると、積極的に手助けを申し出ていただける方もおり、驚きとともにとてもありがたく感じています。

妻にはプログラムへの応募の時から話をしており、私の挑戦を後押ししてくれています。事業化に向けた会社設立の時も一緒に喜んでくれました。父親からは、当初、不安を感じて「やめた方がいい」とも言われましたが、徐々に考えも変わりつつあるようで、今は応援してくれています。

Q.まず実現したいこと、目標やビジョンがあれば教えてください。

当社は、「言いたい」を「言える」に、「伝えたい」を「伝える」に、をビジョンに掲げています。内部通報のみならず、企業には様々なアイディアを持っているけど、それを伝えられていない方もいると思います。また、部下から上司に限らず、上司から部下も然り、ハラスメントを恐れ「伝えるべきことを伝えられない」状態は自然ではありません。

全ての職場で心理的安全性が高まった状態になった時、この事業は役目を果たし、次のステップに進めると考えています。

メンバーと
Q.出向起業にあたっての意気込みをお聞かせください。

経営者として歩み始めたばかりですが課題はたくさんあります。経営に関することは、書籍がたくさんあるので「調べれば答えがある」と思っていましたが、これは誤解でした。私が最も効果があると考える経営に関するアップデートは、先輩経営者、会社創業者との壁打ちです。

今までの銀行員としての経験や人脈が活きていますし、これからもどんどん先輩の胸を借りていきたいと思っています。

「生成AI技術を活用した中堅・中小企業向け内部通報システムプラットフォーム構築」について

企業の内部通報窓口を受託する事業です。

投稿者となる役職員等は匿名での投稿を望む一方、企業側は匿名通報の取り扱いが難しいというミスマッチが存在します。

reLaysは匿名での投稿を含む投稿者と企業を繋ぐ(relay/リレーする)ためのシステムフローを、企業向けwebプラットフォームとして提供するBPaas事業です。

和田 康佑氏

わだ こうすけ

代表取締役社長 

自己紹介/略歴:

静岡県出身
2004年、新卒で株式会社静岡銀行に入行
法人営業担当として支店7店舗を経験
2022年、社内ベンチャープログラムにエントリーし優秀賞を受賞、第1号事業化案件に選定
2024年会社設立し代表取締役に就任

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