大西 徳幸氏(株式会社SEGNOS)

Q.これまでのキャリアについて教えてください。

1987年にチッソ株式会社、現在のJNC株式会社に入社後、大学や研究機関への出向を経験。出向中に学んだ有機合成化学、高分子化学(刺激応答材料)など産学共同研究の成果をもとに、産学ジョイントベンチャーとなるマグナビート株式会社を2005年に起業しました。

その後も神戸大学、NEDOへの出向を経験。様々なスタートアップの支援を行うことで、オープンイノベーションの重要性を実感し、2024年2月に2度目となる産学ジョイントベンチャー、株式会社SEGNOSを起業しました。

Q.アイデアを事業化、出向起業へと行動に移された理由を教えてください。

実施するのは、当社の独自技術である刺激応答性磁性ナノ粒子(商標名:Therma-Max)を用いた高感度診断技術、スクリーニング技術の実証事業です。

1990 年代、国内全域でO157による集団食中毒が発生していた当時、私は外国製の迅速簡便なO157検査キットの輸入販売に関わっていました。その検査キットは前処理に磁性粒子を使用していたのですが、「感度」の点で課題がありました。私はその前処理で使用されている磁性粒子に着目、長年研究開発を行ってきた刺激応答材料と磁性ナノ粒子の複合化によりその課題が解決できるのではないか、そう考えたことが事業化のきっかけです。

昨今の新型コロナウイルスのパンデミックで、磁性粒子を用いた高速高感度診断技術、バイオセパレーション技術の必要性が一気に高まりましたが、残念ながら、所属企業の事業ターゲットではなかったため、一念発起で起業を決断しました。

Q.出向起業制度の活用にあたって、社内調整はどのように進められたのでしょうか。

出向起業制度に関しては、NEDOへの出向時に見聞きしていました。大企業には優秀なエンジニアが集中している一方、その人材が有効に活用されていないことが日本のイノベーションを妨げている、出向起業制度が作られた経緯に非常に共感を覚えたことが、この制度を活用するきっかけとなりました。

研究開発の担当役員が出向起業に対して非常に理解があり、トップダウンで出向起業によるスピンオフベンチャーの起業に向けて、社内調整を進めました。もちろん、制度活用を懸念する声もなかったわけではなく、起業までに3年を要しましたが、今年度の公募への申請が叶い、出向起業となりました。

Q.まず実現したいこと、目標やビジョンがあれば教えてください。

まず、体内の微量な病原物質の検出が期待できる当社の製品の高感度検出技術を活かし、臨床研究を開始したいと考えています。

最終的な目標は、わずか1滴の血液で様々な疾患を診断できる製品の開発です。この製品開発を通じて、事業の大幅な拡大を目指していきます。

SEGNOS メンバー
Q.出向起業にあたっての意気込みをお聞かせください。

経営者としての責任を強く意識し、事業ビジョンの実現に全力で取り組み、将来的には、民間クリニックでも気軽に診断ができる世の中の実現です。これにより、長寿化社会の実現にも貢献できると考えています。

この出向起業は大きな挑戦ですが、新しい医療サービスの提供を通じて、持続可能な事業モデルを構築し、社会への貢献を果たしていきたいと意気込んでいます。

「 磁性材料を用いた分離、診断技術の実証事業」について

パンデミックの影響でHTS技術、高速高感度診断技術、バイオセパレーション技術の需要が高まる中、消耗品を含めた高コストが非常に大きな課題となっています。

本事業では、診断薬キットや創薬、ワクチン開発においてボトルネックとなっている迅速、高感度化を当社の独自技術である刺激応答性磁性ナノ粒子(商標名:Therma-Max)を用いた高感度診断技術、スクリーニング技術の実証を行います。

大西 徳幸氏

おおにし のりゆき

代表取締役社長 

自己紹介/略歴:

1987年4月 チッソ㈱(現JNC㈱)に入社
1990年4月 大阪市立大学に国内留学
1996年4月 産総研に出向(研究代表者) 
2005年7月 ㈱マグナビートを起業(代表取締役社長) 
2016年4月 神戸大学(科学技術イノベーション研究科)に出向(特命教授) 
2019年4月 NEDO(スタートアップグループ)に出向
2024年2月 ㈱SEGNOSを起業(代表取締役社長) 

Profile Picture

会社概要

所在地千葉市中央区中央2丁目5-1 千葉中央ツインビル2号館7階チバラボ内
WEBサイト準備中
問合せonishi@segnos.co.jp