奥井 颯平氏（株式会社CrossVision）

Q.これまでのキャリアについて教えてください。

2017年にNTTコミュニケーションズ入社後、ドコモグループにて対話生成AIの研究開発やエンタメ領域を中心としたソリューションビジネスに従事しました。最先端技術の社会実装力を武器にオープンイノベーションに貢献できたと感じています。
本業とは別にイラスト作家としても活動しており、制作したNFTアートが注目を浴びたことをきっかけに専門性をweb3に広げ、出向起業社となる株式会社CrossVisionを2024年に設立しました。日々、起業家としてweb3やメタバース、AIの社会実装を推進していきたいと事業に取り組んでいます。

Q.アイデアを事業化（起業）へと行動に移された理由を教えてください。

イラスト作家や音楽作家として活動する創業メンバーが日々感じている制作現場での課題、クリエイターのマネタイズ方法に対し、Web3やNFTなどの革新技術の活用はどうかと考えたんです。そうすることで多重下請け構造の撤廃だけでなく、ファンコミュニティの形成にもつながるのではと考え、音楽コンテンツや推し活グッズをデジタル展開する着想に至りました。

チームメンバー自らがクリエイターとして課題に直面しており、自分ごとだけでなく周囲のクリエイターからもその課題解決を期待して実現に向けて応援の声を多くいただいていました。

この事業案を社内で事業化するのか、外に出て起業するのかを考えた時に、周囲のクリエイターとより近い距離で柔軟に事業を進めるには後者かと思い、起業という決断に至りました。

Q.事業化にあたり、出向起業制度の活用に向けた社内調整はどのように進められたのでしょうか。

もともと社内の新規事業創出コンテストへの応募がきっかけで事業検証を進めていました。事業化に向けての出口としてスピンアウトの仕方を漠然と検討し始めていた、そのタイミングで新規事業創出プログラム「docomo STARTUP」ができ、スピンアウトの制度が整備されたおかげで、自然に出向起業を活用する道が選択できました。

docomo STARTUPの仕組みを活用したことで、様々な調整についてはdocomo側の支援が充実していたのですが、スピンアウトを認めていただくための事業仮説の立案を求められました。これは苦労した点ではありますが、調整業務等のサポートをいただいた分、私は事業検証に集中して取り組むことができて良かった点でもあるなと、感じています。

Q.出向起業への応募に対して、所属企業の周りの社員の方、ご家族や身近な方の反応はいかがでしたか。

周りの方からは「新しい起業のカタチ」を作っていくという観点でdocomo STARTUPの考え方と近いこともあり、ポジティブに応援してもらえました。

家族からもポジティブな反応を得られたのは、辞職してスピンアウトではなく、出向起業を活用したおかげかなと感じています。 家族に応援してもらえることで、より事業検証を前のめりに進められています。

Q.今後はどのように事業を展開していく計画か、まず実現したいことは何でしょうか。出向起業にあたっての意気込みもお聞かせください。

まずは国内でVTuberを中心としたデジタルコンテンツマーケットを作り、web3やメタバースなどの成熟に合わせてコンテンツの世界展開を目指します。 クールジャパンコンテンツを海外展開させるビジネスとしてより大きなデジタルコンテンツ経済を作っていきたいです。

出向起業の事例が少ないこともあり、「私がこの仕組みの成功体験を作っていくんだ」という気持ちで取り組んでいきます！